新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~


【雪】

「じゃあ、行って来る」

「うん、後でね」

いつものように、香純より先にウチを出て会社に出社する。


――香純とは小学校時代からの『幼なじみ』で、お互いの成長つれて異性として意識するようになっていった。

そして、大学3年の頃。

なんやかんやで、やっと香純に想いを告げる事ができた。

留学した夏彦から“彼女”―――深琴さんの存在を聞いたのは、俺と香純が付き合い始めてしばらくした頃だった。

“あの夏彦”が4年間も彼女を想い続けた理由は、深琴さんに初めて逢った時…わかったような気がした。

最近まだ香織ことはなにひとつ解決してないとはいえ、辛い過去を乗り越えて幸せそうな2人を見ていると思う事がある。


「『結婚』か。…そろそろいいかな…」

俺は車に乗り込んで、鞄に閉まってある小さな箱の中身を見ながらそう呟いた。


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