新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~


会社。


俺から見て、明らかに苛立ちを見せる夏彦がフロアに出社して来た。

「おはようございます。社長」

「…ああ」

…その声、やっぱり機嫌悪いな。

そう思いながら、夏彦の後に続いて社長室に入った。

「…明後日、やっと最愛の人と結婚できる男がなんでそんな顔をしてるんだよ?」

鞄を置き社長椅子に腰を下ろした夏彦に、呆れた時の声の感じで問いかけた。

夏彦が俺を何秒かどよ~んとしたオーラを放ちながら俺を見て、ため息混じりに口を開いた。

「…深琴の様子がおかしい」

「…は?理由は聞いたのか?」

「聞いたけど…『後で話す』と言われた」

…つまり、すくに『理由』を話してもらえなかったからイラついてるだけか。

そうえば、深琴さんが今日半休を取っている事を思い出す。

…俺も人のことは言えねぇけど、こいつも深琴さんのことになると…。

本当に俺たちって…。

「なにをニヤついてるんだ?雪」

「…クッ、いや…ただ、俺たちって本当に従兄弟(高田家の人間)だと思って」


―――最愛の人のことになると、少し必死になり過ぎる所。


間違いなく、同じ高田家の血筋だ。

「いつまでもニヤついてないで、お前もそろそろ仕事しろ!」

「はいはい、わかってますよ。社長」

従兄弟・会社モードが混じった感じの返事をして社長室を出た。


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