新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
「―――お前、息子がいるんだろ?…歳は4歳」
「なんで、知って…」
「…噂で聞いたんだ。俺が留学した後、お前が大学を辞めて子どもを産んだって。…なぁ、深琴」
「…っ」
社長室を出て行こうとする私に夏彦は近づいて来て、壁ドンをされて息を呑(の)んだ。
夏彦に名前で呼ばれているだけなのに胸が高鳴る。
「…お前の息子の父親は誰だ?どうして、結婚もせずに1人で育っててる?」
「社長…―――」
「2人の時は『社長』って呼ぶな。敬語もやめろ」
「…夏彦には関係ないわ」
私は夏彦から目線を逸らす。
「…『関係ない』と言うなら逢わせてくれ」
「なんで、夏輝に逢わせないといけないのよ!?」
「へぇ~、"ナツキ"ねぇ…」
夏輝の名前を出してしまった事に「しまった!」と思ったが、もう遅い。
「…『夏』と星の『輝き』で”夏輝”か…」
「…っ」
私を真剣に見る夏彦の瞳から目を逸らせない。
「夏輝は俺の子だよな?」
…どうして、この男はこんなに自信を持っているんだろう?
一度も夏輝に逢った事はないのに…。
「…違うわ」
「じゃあ、本気で俺を拒んでみろよ」
そう言うと、夏彦は強引に私の唇を塞ぐ。
「んんっ…やめ…」
抵抗をしようするが、唇が割れて舌が絡み捕られる。
…ああ…
夏彦の匂いも温度もキスのやり方も…
全部、身体が覚えてる。
「…んんっ…ふっ…」
「…俺の『キスのやり方』忘れてなかったんだな…」
そう言って、夏彦は意地悪ぽく微笑んだ。
「あなたなんて、大嫌い…」
…でも、本当は…
今でも…大好きよ。
「今夜、お前ん家(ち)に行くから…ちゃんと話そう」
「来ないで!」
そう言って、私は夏彦から離れて社長室を出た。