新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【夏彦】
―――コンコン。
社長室のドアをノックする音が聞こえ「入れ」と言うとしたが、その前に慌てた様子の島田―――暁人が部屋に入って来た。
「“夏彦”!…あっ、いいえ…社長」
昨日、俺と雪は一月と暁人から『香織との関係』を打ち明けられた。
暁人に「プライベートの時はタメ口・名前呼び捨てでいい」と話したのもその時だ。
「…落ち着け、“暁人”」
この慌て方は、仕事上の事じゃないと感じて俺も彼を名前で呼ぶ。
「…悪い。実は、今受付から連絡がきて―――香織が…」
「来てるのか?」
そう聞き返すと、暁人は無言で頷いた。
かと思うと、ノックなしに再びドアが開いた。
そこにいたのは、雪と香純だった。
「おい、夏彦!今、受付に―――」
「香織が…!」
「今、暁人から聞いた。…通せ」
「どうする気?」
「ただ、話すだけだ」
「俺と香純はそこに立ち会うからな」
「ああ」
「俺はとりあえず、なにも知らないフリをする」
「他の秘書課全員にも「なにが起きても、とりあえず今はなにも聞かないでほしい」と言ってくれ」
「わかりました」
「…では、香織をここに通します。社長」
暁人と香純はそう言って、社長室をいったん後にした。