新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【香織】
…私は、ずっと夏彦が好きだった。
でも、夏彦は私を“女”して見てくれる事はなかった。
かと言って、夏彦が『御曹司』というだけで狙う女には渡したくない。
だから、私は自称夏彦の『婚約者』になった。
高校時代までは夏彦に逢う機会も多く、誰にも疑われる事もなかった。
―――「いつか、私の『嘘』が『本当』になるかもしれない」という希望を持ちながら…。
けど、大学時代の時―――。
偶然、夏也おじさまから、夏彦の彼女――深琴さんの存在を聞いた。
「…どうして、私じゃ…ダメなの…っ」
「泣くなよ、香織。お前の『婚約者』だって、お前と俺みたいに遊んでるだけだろ」
暁人はそう言いなら、私を抱き寄せて優しく頭を撫でる。
「それ、フォローになってない…」
「…じゃぁ、これは?」
そう言って、暁人は微笑んで私の唇をキスで塞いだ。
暁人は、いつも私の傍にいてくれて、支えてくれる存在だった。
そして、一緒に過ごすうちに…いつか夏彦よりも愛しい存在なっていった。
少しずつ大きくなる『罪悪感』共に…。
『八柳グループ』に暁人が就職した時、桜色と黒色の色違いで『お揃いのブレスレット』をプレゼントした。
(黒色は、暁人。桜色は、私。)
今の私が決して口に出しちゃいけない、『あなたが大好き』という想いを込めて―――。