新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
―――そして、現在。
『真実』を明かした後、父さんは「そんな理由で…お前は!」と頭を抱えて怒鳴りを上げる。
「お前にとっては“夏彦のために”した事だったかもしれないが、その『嘘』のせいで夏彦と深琴さんを傷つけて、夏輝くんと3人で過ごせるはずだった『4年間』をお前が奪った。金を使い人を強要するとは…!それでも俺と同じ『八柳家』の人間か!」
「…っ、今は心から反省しています」
私は父さん怒りを肌に感じながら、深く頭を下げた。
「「「……」」」
…父さんが1番嫌い事は、『お金を使い人を強要(または、騙す)』事―――。
その1番『嫌いな事』を娘の―――私がやった。
わかってて、やったのだ。
「…香織」
「はい…」
怒り混じる重い声で、父さん名前を呼ばれて返事をして顔を上げた。
「「「……」」」
その雰囲気に私の隣に座っている暁人も、横側に座っている夏彦と深琴さんからも緊張感を感じる。
「今後一切、お前には俺の金を使わせない。俺の名義のクレジットカードは返してもらう」
「はい、わかりました。今までありがとうございました」
「反論はない」と示すために、その場で財布からクレジットカードを出して父さんに差し出した。
それを無言で受け取って、父さんは自分の財布に静かにしました。
「…あと、もう1つ。香織、俺が選んだ男とお見合いをして結婚しろ」
その言葉に私だけではく3人全員が驚いて、動揺する中1番最初に声を上げたのは暁人だった。
「…ちょっと、待ってください!社長。それはつまり…香織に『『政略結婚』をしろ』と言ってるんですか?」
「そうだ」
「くっ…!」
暁人は、自分の膝に拳を握って押し黙ってしまった。
…いや、暁人からは言えなかったのだ。
暁人との『関係』に敢(あ)えて名をつけれなくしたのは、私。
…今までごめんね、暁人。
ずっと、嘘をつき続いて…。
でも、今日で全部終わり。
だから、この前の電話で答えられなかった『本当の答え』を…。
嘘も偽りもない、愛しい人への気持ちを――。
今、伝えるから。
…“あなた”も聞いててね。
そう心で呟いて、自分のお腹に手をあてた。