新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【深琴】
―――9月6日。
夏彦と私は会社に出社する前に【婚姻届】を提出し、“高田深琴”になった。
今朝、私より一足早く“たかだ なつき”と書かれた新しい名札を胸に付けた夏輝は「今日から、僕は“高田夏輝”。パパと同じ名前だ~~!(もちろん、“名字”こと)」と喜んで、上機嫌でいつも通り朔也と一緒に保育園に行った。
会社。
ロビーに着くと夏彦は「深琴」と私を呼び留めた。
「これ、新しい社員証」
そう言って、【高田深琴】と書かれている新しい社員証を夏彦から受け取り紐を首にかける。
…今日から、私―――“高田深琴”なんだ。
「古い社員証は人事課に渡してくれ」
私たちは歩きながら、そう会話をする。
「ねぇ、夏彦。そんなに嬉しい?」
おそらく親しい人にしかわからないくらいにだが、今の夏彦は凄く機嫌いい。
「当たり前だろ。…俺が何年待ったと思ってるんだ」
「私もよ…」
そう言って、会社の改札口前まで誰にも気づかれないようにお互いの手を繋いだ。
【秘書課】に入ること、先に来ていた彰さんが私たちに気づいて挨拶した。
「おはようございます、ご結婚おめでとうございます。高田社長、奥様」
…お、奥様!?
「…っ、あき――田口さん。それはやめてください。これからは社内でも『プライベート呼び』と一緒でいいです!他のみんなにも“名前”か“旧姓“で呼んでもらうつもりですから!」
「ブッ、ごめんごめん。深琴ちゃん」
「あんまり、深琴をからかうのはやめてあげてください。田口さん。…クククッ…」
「なんで、夏彦まで笑ってるのよ!?」
私は思わず、夏彦の脇腹に軽く肘を入れる。
「痛っ!…だって、お前必死過ぎ!ハハハァ…」
「…っ、もう知りません。社長も!田口さんも!」
そう言って、デスクに着いて夏彦の1日のスケジュールを確認した。
その後、雪さんと香純と暁人と七海・他のみんなが出社して来て…全員から「結婚おめでとう」と祝福を受けた。