新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【深琴】
それから、1週間後。
夏彦と雪さんの後ろに続づいて、【秘書課】に入って来たのはセミロング系で明るめのブラウン系の髪型をした香織だった。
「「「……っ!!!」」」
先日、ここで騒ぎ起こした張本人が現れたので事情を知らない課の社員たちに緊張感が走った。
「――あれ?…なんか空気が重いですけど…」
「…先日、ここで騒ぎ起こしたのはお前だろ?」
「ほら、みんなに改めて自己紹介しろ」
「納得した…」
香織は夏彦と雪さんの言葉に苦笑いをしてそう呟いてた。
一歩前に出て香織が全員に頭を下げた。
「皆様、先日はお騒がせして申し訳ございませんでした。改めまして、本日『TAKADAホールディングス』【秘書課】に配属されました。島田香織です」
その挨拶を聞いた1週間前の事情を知らない課の社員たちがザワつく。
「…彼女、『八柳グループ』の令嬢だよな…?」
「うん、高田社長の『婚約者』と言い張って深琴さんと争ってたよね?」
「でも、今“島田”って…」
みんなが次々とそう囁く中、夏彦が「コッホン!」と咳払いをして口を開いた。
「…みんなにも彼女とのプライベートな揉め事で迷惑をかけたと思うが、その後…幼なじみである香織は俺と妻の深琴と和解し、すぐに恋人であった島田暁人と結婚した」
夏彦がそう言うと、課の社員たちが「嘘…!?」という表情を浮かべて全員の目線が暁人に集まる。
「……っ」
…自業自得(?)ね。
暁人が気まずそうに目線を浴びている中、今度は雪さんが口を開いた。
「あと、みんなさん。香織は深琴さんと同じく現在、妊娠中だそうなので、いろいろサポートをしてあげてください」
「入社してばかりで数か月後には産休に入ってしまうのは、大変申し訳ないですが…ギリギリまで働きますので、夫の暁人共々これから宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
暁人も前に出て香織の隣に並び、全員に夫婦一緒に頭を下げた。