新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
昼休み。
私と香純・暁人と香織が食堂に入ると、他の社員たちの目線が集まってヒソヒソと囁き始める。
でも、どうやら今日は私の事ではない。
やがて、一部の社員たちの声が耳に入って来た。
「なぁ、あの女性(ひと)…。この前【秘書課】で騒ぎを起こした【八神グループ】の令嬢だよな?」
「社長の『婚約者』って言い張ってたのに、内緒で島田さんと付き合ってたらしいよ。おまけに妊娠をしてたんだって」
「えっ、それでよく小日向さんに立てついてたわね」
「いろいろ思うことがあったのかもしれないけど、最低だな」
「…っ」
その会話は香織の耳にも届き、グッと唇を噛み締めていた。
そんな彼女に優しく声をかけた。
「行こう、香織」
「うん…、深琴」
私たちは空いてる席に向かって歩き出す。
私の香織に対する優しい態度に一部の社員たちは驚いて押し黙った。
いや、正確は私かその社員たちを軽く睨みつけて黙らせた。
「ありがとうな、深琴。圧が凄かったぞ。クククッ…」
暁人は笑いながら、私にそう言った。
「最後のは余計よ」
その私と暁人の会話に香織はクスッと笑顔を見せた。