新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
それから、日々忙しくあっても特に大きな出来事はなった。
敢えて挙げるとしたら、雪さんと香純の『婚約』が正式に発表されて2人の『関係』をまったく知らなかった一部の社員たちに数日騒がれたくらいだった。
12月25日。
お腹の赤ちゃんも順調に育っており、妊娠5ヶ月―――安定期に入った。
そして、今日はついに結婚式。
―――コンコン。
【控え室】のドアを叩く音がして「はい」と返事をすると。黒いスーツ着た朔也と夏輝が入って来た。
「よう、姉貴。おめでとう」
「ママ、おめでとう!キレイ~~!」
「夏輝もカッコイイよ。リングボーイお願いね」
そう言いながら、私は椅子から立ち上がりその場でしゃがんで夏輝のネクタイを整え直す。
「うん、頑張る!」
それから、再びドアが叩かれて雪さんや香純たち―――いつものメンバーが【控え室】に入って来た.。
全員から祝福の言葉をもらった。
一月と暁人が私のウエディングドレス姿に見惚れて言葉を失っていると、香純がそれを見て口を開いた。
「あら~、なに深琴に見惚れてるの?」
「いや、別に…っ!…お前こそ“元カノ”に見惚れてるんじゃんかよ。暁人」
「しょうがないだろ。今日の深琴はいつも以上に綺麗…ぐぅっ…」
暁人が最後まで言い切るまえに、隣にいる香織が自分の足で彼の足を踏んだ。
「…深琴を手放すなって、本当に昔の暁人もバカよね~~。そう思うでしょ?香純・愛花・七海」
「そうね~、元々暁人には深琴は勿体ないかなかったからいいじゃない」
「一月もヘタレで良かったんじゃない」
「うんうん、やっぱり深琴先輩には夏彦さんくらいの人じゃないと!」
「「……おい!!」」
ボロボロにいろいろ言われたその男たちは、もうタジタジで声を上げた。
「香織・香純・愛花・七海。そのくらいで…」
「一月、暁人。今はなにも言わないほうがいいぞ」
「みんな、そろそろ会場に行かないと…」
私と雪さんと彰さんがそう言うと、朔也と夏輝以外の6人は「まだ、あとで」と言って【控え室】を出て行った。