新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
「なぁ、姉貴」
朔也は私の横でそっと口を開いた。
「ん?」
「幸せになれよ」
「ええ、もう幸せよ」
私は幸せ笑顔でそう答えた。
―――コンコン。
ドアが再び叩かれて「はい」と返事すると、白いタキシード姿の夏彦が【控え室】に入って来た。
「よう、兄貴。遅せぇよ」
「悪い」
「あっ、パパ!カッコイイ~~♪」
「お前もカッコイイぞ。夏輝」
そう言いながら、夏彦は近づいて来た夏輝を抱きかかえた。
「夏彦」
「深琴」
私たちは見つめ合う。
…彼と出逢って、いろいろな事があった。
お互いの想いがすれ違い、別れ…
それでも、心のどこかにいつも夏彦がいた。
愛しくて泣いて大嫌いで大好きなのは、これからもあなただけ…。
「…遅くなって、ごめん」
私にはその言葉が『いつから』かを示しているのか、わかる。
私は首を横に振る。
そして、差し出された夏彦の手をそっと取った。
「愛してる。深琴」
「私も愛してるわ。夏彦」
―――そして、私たちは愛しい息子の目の前で少し早めの誓いのキスをした。
End