新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
それから、2年後。
親父から深琴がウチの会社に就職した事と、「彼女には息子がいる」という連絡があった。
「…結婚したのか。深琴」
もう、あれから2年が経っている。
あいつも誰かと幸せになっていてもおかしくない。
俺はただ彼女は「もう、自分の所へ帰って来る事はない」と思った。
それから、現在。
俺は4年ぶりに日本へ帰国した。
「…雪、明後日からしばらくの間『第一秘書』頼むぞ」
「ああ、任せてくれ。夏彦」
同じ歳の従兄弟―――雪はそう言った。
「…とこで、俺の後任の『第二秘書』なんだけど…お前が信用できる人がいいかと思って、”彼女”のことを挙げておいた。…どうする?」
と、雪が彼女の―――【小日向深琴】の履歴書を俺の前に差し出す。
「…っ」
「…夏彦、今回の事で深琴さんを調べたんだ。結婚せずに今年で5歳になる息子がいるし…調べてみたら夏彦が留学した後、『妊娠』を理由に大学を中退してる」
「…嘘だろ」
…深琴は、なぜ結婚せずに今年で5歳になる息子を育ててる?
息子が5歳なら、当時俺以外の男と『関係』を持っていないなら俺との間の子になる。
…そうなのか?
俺が父親だとしたら、息子の名前は…きっと―――
『―――ねぇ、夏彦。星の輝きって綺麗ね…』
『ん、だから好きなんだ』
『…夏彦に子どもができたら『輝き』の字は絶対に入りそうね』
いつだったか深琴と星空を見ながらした会話を思い出しながら、履歴書の【家族構成】の欄を見た。
【長男:夏輝】
「…間違いない。俺の子だ」
俺はそう確信した。
「だとしても、…彼女が素直に認めると思う?」
「無理だろうな…」
俺はそう言って、深いため息をついた。