*伝説と言われたあの子*
い、違和感しかない‥‥、
『髪の毛ギシギシしてない、かな』
指でそっと髪の毛を摘み、無意識にも頬が引きつった。肌触りで言うならカツラ、みたいな。
そんな感じ。
昨日の買い物で、染める材料を買えず結局家にあるスプレーで染めただけ。
もっと簡単に言うなら、濡れればすぐ落ちるやつ
雨の日どうするの?
なんて聞いた私にお兄は真顔で、『学校休めば?』とか言うし‥‥
行先不安だらけだよ。とりあえず、
『ちゃんと黒染めしよ』
思わず出た本音と共に、自身の足を前へ一歩踏み出した。
そう、この一歩が
私の
全てを変えるきっかけになった、と思い知ったのはまだ先の話し。