*伝説と言われたあの子*


思わず溢した声は、心なしか震えていた。

だって迷子になるとか予想外だし、

理事長室って一階にあるんじゃないの?



通った場所を思い出すも、それらしき部屋は無かった

かと言ってきた道を戻れる自信は‥‥なく、

小さく息を吐いた。



『校内の案内板みたいなの、ないのかな』

そう思い辺りを見渡して、あっ、と声が溢れた。

ちょうど日が当たり、それを照らしていて。


無意識の内に足がそこへと向かう。

やっぱ、どこでも共通の色なのかなぁ、



なんて内心呟きながら赤色の自販機の前で足を止めた


『のど乾いたぁ‥‥なんか飲もっ』

上から順に見ていって、途中で視線が止まった。

『珍しい‥‥自販機にこれ、売ってるなんて』



視線の先にあったのは300mlのペットボトルの緑茶。

苦味があって渋い味がするお茶で、自販機には大抵置いてなくて、買うのはいつもスーパーとかなのに‥‥



置いてある、って事は飲む人がいる。って事かな

< 28 / 34 >

この作品をシェア

pagetop