*伝説と言われたあの子*
思わず溢した声は、心なしか震えていた。
だって迷子になるとか予想外だし、
理事長室って一階にあるんじゃないの?
通った場所を思い出すも、それらしき部屋は無かった
かと言ってきた道を戻れる自信は‥‥なく、
小さく息を吐いた。
『校内の案内板みたいなの、ないのかな』
そう思い辺りを見渡して、あっ、と声が溢れた。
ちょうど日が当たり、それを照らしていて。
無意識の内に足がそこへと向かう。
やっぱ、どこでも共通の色なのかなぁ、
なんて内心呟きながら赤色の自販機の前で足を止めた
『のど乾いたぁ‥‥なんか飲もっ』
上から順に見ていって、途中で視線が止まった。
『珍しい‥‥自販機にこれ、売ってるなんて』
視線の先にあったのは300mlのペットボトルの緑茶。
苦味があって渋い味がするお茶で、自販機には大抵置いてなくて、買うのはいつもスーパーとかなのに‥‥
置いてある、って事は飲む人がいる。って事かな