【完結】私に甘い眼鏡くん
午後六時を過ぎると、会場付近は人であふれかえっていた。
浴衣や法被を着ている人も多く、視界はカラフルに彩られる。
「やばいっ、テンション上がってきた!」
「でしょ! なっちゃんと来れてよかった!」
盛り上がる私たちをよそに、男衆のテンションは最低だ。
「よりによってなんでお前なんだよ」
「文句なら望月に言ってくれ。俺は被害者だ」
「そうだよ! 太一、なんか文句ある?」
「あるに決まってんだろ! 東雲、調子のんな」
「のってない」
仲が悪いように思えるが、太一が一方的に喧嘩をふっかけているだけだ。
こういう時は話す暇も与えないほど連れまわすに限る。
「よし! 屋台回ろう!」
「おー!」
人混みをるんるん気分で歩き出すなっちゃんは、あれ買って!と太一を引っ張っていく。なんで俺がと言いながら財布を取り出している太一は、なっちゃんに相当甘い気がする。
隣でため息をついている東雲くんに気付かないふりをして軽く肩を叩く。
「私たちも行こう! なにやる? お金出すから射的とかやってよ! 東雲くん上手そうだし!」
「出さなくていい。この際全部付き合うから、端から回るぞ」
やけくそ気味の返答だが言質はとれたので、私は張り切って屋台を満喫することにした。
まずは定番のりんご飴を買う。姫りんごじゃなくて、ちゃんと大きいやつ。
「やっぱり夏祭りはりんご飴から始まるよねえ」
「私はいちご飴派だな~」
そういいながら一粒くれたなっちゃん。いちご飴ももちろんおいしい。
上機嫌で袋を外しながら、固まった飴を舌でゆっくりと溶かしていく。
太一はスタンダードなチョコバナナを食べながら、りんご飴を見て顔をしかめた。
「よくそんなん食えるな。飴が赤いだけだろ。りんごは味ないし」
「飴と食べれば甘く感じるし、この人工的な赤も可愛いよ」
「つまらない男だな」
「お前に言われたくねえよ!」
ぼそりと呟いた東雲くんにここぞとばかりに突っかかる。
彼は太一のことなど気にも留めず、イカ焼きを食べていた。
その後わたあめも買った。花火の時は絶対食べながら見たい。
右手にはりんご飴、左手にはスクールバッグとわたあめ。
これだけでもかなり楽しい。
本当はみんなにお面もつけさせたいぐらいだけれど、東雲くんが本気で嫌がる未来が見えたのでやめた。
浴衣や法被を着ている人も多く、視界はカラフルに彩られる。
「やばいっ、テンション上がってきた!」
「でしょ! なっちゃんと来れてよかった!」
盛り上がる私たちをよそに、男衆のテンションは最低だ。
「よりによってなんでお前なんだよ」
「文句なら望月に言ってくれ。俺は被害者だ」
「そうだよ! 太一、なんか文句ある?」
「あるに決まってんだろ! 東雲、調子のんな」
「のってない」
仲が悪いように思えるが、太一が一方的に喧嘩をふっかけているだけだ。
こういう時は話す暇も与えないほど連れまわすに限る。
「よし! 屋台回ろう!」
「おー!」
人混みをるんるん気分で歩き出すなっちゃんは、あれ買って!と太一を引っ張っていく。なんで俺がと言いながら財布を取り出している太一は、なっちゃんに相当甘い気がする。
隣でため息をついている東雲くんに気付かないふりをして軽く肩を叩く。
「私たちも行こう! なにやる? お金出すから射的とかやってよ! 東雲くん上手そうだし!」
「出さなくていい。この際全部付き合うから、端から回るぞ」
やけくそ気味の返答だが言質はとれたので、私は張り切って屋台を満喫することにした。
まずは定番のりんご飴を買う。姫りんごじゃなくて、ちゃんと大きいやつ。
「やっぱり夏祭りはりんご飴から始まるよねえ」
「私はいちご飴派だな~」
そういいながら一粒くれたなっちゃん。いちご飴ももちろんおいしい。
上機嫌で袋を外しながら、固まった飴を舌でゆっくりと溶かしていく。
太一はスタンダードなチョコバナナを食べながら、りんご飴を見て顔をしかめた。
「よくそんなん食えるな。飴が赤いだけだろ。りんごは味ないし」
「飴と食べれば甘く感じるし、この人工的な赤も可愛いよ」
「つまらない男だな」
「お前に言われたくねえよ!」
ぼそりと呟いた東雲くんにここぞとばかりに突っかかる。
彼は太一のことなど気にも留めず、イカ焼きを食べていた。
その後わたあめも買った。花火の時は絶対食べながら見たい。
右手にはりんご飴、左手にはスクールバッグとわたあめ。
これだけでもかなり楽しい。
本当はみんなにお面もつけさせたいぐらいだけれど、東雲くんが本気で嫌がる未来が見えたのでやめた。