Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜

果てしなく広がる海に、大きな船が一隻波に揺られていた。その船では多くの船員がそれぞれの仕事に忙しく動き回っている。

その船は海賊船だ。名前はメシア。しかし、海賊と言っても商船を襲ったりはしない。気ままに旅をするマイペースな海賊たちだ。

その船の船長室で、若き船長であるディートフリート・ヨークが船員の子どもの面倒を見ていた。金髪に緑眼の整った顔立ちのディートフリートは子どもたちから大人気だ。なぜならーーー。

「船長！！マジック見せて！マジック！」

子どもたちがマジックをせがむ。ディートフリートの特技はマジックだ。彼は「わかった」と微笑み、ハンカチを取り出す。

「いいか？このハンカチが今から一瞬でバラに変わるぞ」

三、二、一とディートフリートはカウントを始める。子どもたちの目の輝きは増した。ゼロとディートフリートが言うと、ハンカチは一瞬で消えて赤いバラの花が姿を見せる。子どもたちから歓声が上がった。