Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜

「そうか。なら、そろそろ行こう。お客様がお待ちかねだ」

「……はい」

ミラの手は無理やりヘンリーに取られる。ディートフリートの手ではないことにミラは泣きそうになった。本当はウェディングドレスを見せたいのはヘンリーではなくディートフリートだ。彼女もずっとディートフリートのことが好きだった。

教会には多くの人間が招待された。しかし、その中にディートフリートたちの姿はない。海賊を入れたくないとヘンリーが結婚式に来ることを許可しなかったからだ。

祭壇の前に無理やりミラは立たされる。誓い言葉を言えば、もうヘンリーと夫婦なのだ。ディートフリートへの恋は散らせるしかない。

「ヘンリー・フランツ。あなたは健やかなる時も病める時もこの女性を妻とし、最後まで愛することを誓いますか？」

神父の言葉が教会に響く。ヘンリーは迷うことなく「誓います」と答えた。次はミラが愛を誓う番だ。体が小刻みに震えていく。

ごめんなさい、ディート……。泣きそうになるのをミラは必死で堪えた。神父の言葉が頭から通り過ぎていく。