Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜
誰もがミラの言葉を待っていた。ヘンリーが「大丈夫。さあ、言って?」とミラの手を握る。ミラは諦めて口を開こうとした。刹那。

「ちょっと待った!!ミラは俺が奪っていく。……海賊は強欲なんでね。狙った宝は絶対に逃さないんだ」

教会のドアが開き、いつものような海賊のコートではなくなぜかグレーのスーツを着たディートフリートが現れる。

「ディート、どうして……!」

ミラは驚き、ヘンリーは嫌そうな顔をする。参列者たちは何事かとざわめき始めた。そこにオーウェンとラナも入ってくる。

「そこにいるヘンリー・フランツはとんでもない大悪党だ。海賊たちに賄賂を渡し、ミラを襲わせて自分が助け、ミラを無理やり落とそうとしていた」

オーウェンの言葉に教会はさらに騒めく。ミラが「本当なんですか!?」とヘンリーを見つめた。

「そ、そんなわけないだろう!!こんな海賊の言葉なんて……」

ヘンリーは口ではそう言っているものの、顔は真っ青で目は泳いでしまっている。
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