Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜

そう言い二人はそれぞれの道を歩き始めた。ディートフリートは海賊として必要なことを海で学び、ミラはお嬢様としての教養を身につける。あの日から十数年経ち二人とも大人になったのだが、ディートフリートはまだミラに会いに行けていない。

「ミラ、きっと綺麗になっているんだろうな……」

子どもたちが船長室を後にしてから、ディートフリートはミラの写真を取り出して呟く。その時、船長室に遊びに来た船員二人のうち一人が言った。

「写真見てそんな女々しいこと言う暇があるならちゃっちゃと会いに行きなさいよ！」

そう言ったのはラナ・マグノリアだ。普段は医務室で船員たちの怪我の手当てをしているが、コックとして調理場に立ったり、メシアが他の海賊に襲われた時には銃や剣で戦ったりする勇ましい女性だ。

「いや、会いに行きたいが向こうは俺のこと覚えていないかもしれないだろ？」

「そんなの男の魅力を使って惚れさせるんじゃない！」

「無茶言うなよ！」