Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜

胸を高鳴らせるディートフリートを見て、ラナは「早く攫って来なさいよ」と微笑む。その時、オーウェンが「でも、ギールヴェン国では変な噂を聞くから気を付けないとな」と言った。

「噂？」

ディートフリートとラナが同時に訊ねる。オーウェンは口を開いた。

「ギールヴェン国の闇市場なんかに海賊が集まってるらしい。それも出会ったら厄介な海賊団ばっかり」

「ええ〜……。ギールヴェン国ってそんなに治安の悪い国じゃなかったでしょ」

オーウェンの言葉にラナは不思議そうな顔をする。ディートフリートも「おかしいな」と呟いた。

ギールヴェン国は諸外国でも安全な国として昔から有名だ。多くの難民を受け入れており、世界一平和で幸せな国という称号ももらっている。海賊が集まれる場所があることにディートフリートは驚いていた。

「街の人は俺たちを受け入れてくれるだろうか？」

そんな不安がディートフリートの中に生まれた。ミラに会えなければこの国に来た理由がない。