Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜
「それなら大丈夫だぜ!」

オーウェンがポンとディートフリートの肩を叩いた。

「メシアはいい海賊船として有名だ。俺たちのことは街の人もよく知ってると思う。て言うか、一応海賊船なのに海賊旗が俺らの船にはねえじゃん!」

「そ、そうか……」

そんなことを話しているうちに、船はギールヴェン国の港に到着した。オーウェンの言う通りメシアはいい海賊船と認識してもらっているようで、「海賊メシアだ〜!!」と街の子どもたちがはしゃいでいる。

「ギールヴェン国に数週間滞在する。好きに過ごしてもいいが、メシアの一員だということを忘れないように。解散!!」

ディートフリートがそう言うと、船員たちは次々に船から降りていく。ラナとオーウェンも「頑張れよ!」と言いながら降りて行った。ディートフリートも十数年振りにギールヴェン国に降り立つ。街は当然あの頃とは変わっていた。

「しかし、人々はみんな笑顔で海賊が集まっているようには見えないな……」
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