Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜
そんなことを呟きながら街をディートフリートは歩く。小腹が空いているため、何か食べようと思っていた。その時、「あの!」と急に腕を掴まれる。

「何だ?」

冷たい声をわざと出し、ディートフリートは振り返った。ミラや船員の女性以外は少し苦手なのだ。しかし、振り返って見た相手は苦手な女性たちではなかった。

「ミラ!?」

「ディート!覚えていてくれていたの!?嬉しい!!」

緑のドレスを着たミラが無邪気に笑っている。その変わっていない笑顔に、ディートフリートの胸がギュッと音を立てた。

「メイドたちからメシアが来てるって聞いて走って来ちゃった」

街に降り立って数時間でミラと会えるなど奇跡だ。ディートフリートは胸を高鳴らせながらミラの手を掴む。

「街を案内してくれ。昔と変わってしまってわからない」

ディートフリートがそう言うと、ミラは頰を赤く染めて「うん、もちろん!」と頷く。そして二人は手をつないだまま歩き出した。
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