【短】ペシミスティックな欲望
「…マリーゴールドか黄色いチューリップの花束を…」

「え…?」

「今度会ったら、麻耶ちゃんにそれを送るよ…」


それは、静かな別れの言葉だった。
小さな愛を語るより、俺たちは一度きりの熱に浮かされるだけでいい。


その方がお互いにこれ以上傷付かないだろう。

彼女は、そんな俺の言葉にふっと瞳を伏せて…また俺を見た。

そして、薔薇が咲くような笑みを投げ掛けた。
それが、彼女の精一杯の強がりだった。


「分かりました…」

「うん…ごめん…」

「謝らないで…苦しいから…」

「うん…」

きゅうっと掴まれた指。
その手には、まるで非難するように存在する指輪の跡。

「明日もまた…そうやって笑ってて…?」

「……っ」

「泣かないで…浚いたくなるから」

「………っ」

俺は言葉にならない想いを乗せた接吻けで、彼女の震えるまつ毛を捕らえることで、自分の想いを断ち切ることにした。


それが…刹那さの溢れる、俺たちのアイだった…。


Fin.
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