貴方を好きな私は嫌い
「 え?また彼氏できたの? 」
「 そう!昨日からなんだけどね♡ 」
「 ちょっと待って…
あのサッカー部の人はどうなったの? 」
「 あー、昨日別れた 」
「 あ、、、はあ、、、 」
「 私、あの人気になるんだよねー! 」
「 わかる!かっこいいよね! 」
「 ねえ、宮田もそう思わない?? 」
「 え、そうかなー、、? 」
「 宮田って、あんまり恋愛興味ないの? 」
「 興味ないわけじゃないけど…… 」
「 じゃあ、好きな人いないの? 」
「 んー、、いないかなー、、 」
私、宮田真凜はせっかくのJKなのに
彼氏もいなければ好きな人もいない。
最近の昼休みは、恋バナで持ち越し。
私だけ、取り残されてるなー、、
私だって、恋したいよ!!!
キーンコーンカーンコーン
はあ、やっと昼休み終わった…
恋してない自分が惨めすぎて、最近は
グループで過ごす昼休みがつまらない。
「 はーい授業始めるぞー!席座れー! 」
先生が教室に入って来て、私も席に戻る。
私の席は、廊下側の1番前。
ガラガラガラガラ
急に教室のドアが開く。
隣のクラスの男子が教室に入ってきて、
「 ごめん、数学の教科書貸して! 」
私の机に手を付き、早口でそう言った。
「 え!?!ああ、は、はい! 」
少し状況が掴めないまま、
机の中から数学の教科書を出した。
「 わりい、ありがとう!! 」
すぐにその人は教室を出てった。
び、び、ビックリした……
授業が始まっても、
まだドキドキが止まらなかった。
それは、気になっていた人だったから。
鹿野竜也。
見る度に、かっこいいなって思う程度。
背が高くて、スポーツも出来る。
女の子にもすごくモテてる人。
好きになる気はない。
竜也にはかわいい彼女がいるから。
背も高く、顔もモデル級にかわいい。
河西愛香。
到底適わない彼女だから、
好きになるだけ無駄。
だから、好きにならないようにしてた。
ああ、たったこんな出来事だけで
竜也のことを好きになるのは惨めすぎるよ…
教室のドアから1番近かったのは私。
ただそれだけの理由なはず。
ほんとに自分がやだああああ!!
叶わない恋愛は辛いだけだよ……
授業が終われば、竜也が
教科書を返しにまた来るだろう。
そう思うと全然授業に集中出来なかった。
だめだ…絶対好きにならないぞ…
そうだ!
竜也をじゃがいもだと思えばいいんだ!
そうだ、竜也はじゃがいもだ………
キーンコーンカーンコーン
あ、!!授業は終わった!!!
先生が教室から出て、休み時間が始まる。
いつも休み時間は、仲良しグループで
集まるけど今だけは自分の席で待機する。
ふうーーーーーー。。
緊張するよおお……!!!
ガラガラガラガラ
!!!!!!!!!!!!!!
「 助かった!ありがとう!真凜ちゃん 」
え!!!!
もうなに!!!!!!
全然じゃがいもになんて見えない!!!!
なに???
真凜ちゃんってなに!?!?!?
私の名前、知ってたの!?!?
「 …………えっ?? 」
不思議そうな顔をすると、
「 ふふ♡♡ 」
私の教科書に書いてある、
『 宮田真凜 』を指さしながら
ドヤ顔を見せた。
「 あ、ああ、、なるほど、、 」
「 借りは返すよ、真凜ちゃん♡♡ 」
……………………………………
「 ちょっと宮田ー!! 」
「 え?なに?竜也とそういう感じ!?! 」
竜也との掛け合いを見てた、
グループの子達が一斉に私の机の
周りに集まった。
「 真凜ちゃん呼びってやばくない? 」
「 私達でも宮田呼びだもんね!! 」
「 宮田にも、ついに好きな人が……! 」
「 いや、待って!何も言ってないから! 」
「 えー、でも竜也だよ?
あんなことがあったら好きにならない? 」
「 …………… 」
「 宮田ー、素直になりなよー! 」
「 だって、私がただ近くに
いただけだから…別に竜也には
特に深い意味はないでしょ…… 」
「 いやー?わかんないよー? 」
「 だって、別に他のクラスでも
いいじゃん!教科書借りるだけなら! 」
「 そうだよ!前から宮田のこと
気になってて、これを機にってことも
あり得るかもしれないじゃん! 」
もう…嬉しい事言ってくれるな……
「 でも、恋愛なんて些細な
きっかけから始まるんだから!
たまたま宮田だったかもしれないけど、
頑張り次第でどうにでもなるよ! 」
これぞ経験者は語る、かあ…
そういう考えもあるのか…
と考えさせられた。
好きになりたくないのに、
傷つくことは目に見えてることなのに…
正直になれば楽なのか…