貴方を好きな私は嫌い
それから1週間。
特に、竜也と進展があったわけではない。
竜也が余計に気になりだしてから、
竜也のことを見る機会が多くなったけど…
河西さんとは毎日部活終わりに
一緒に帰ってるし、
休み時間中も一緒にいることが多い。
なんか、勝手に振られた感じ。
やっぱり無理だ。
今のうちに、諦めた方が身のためだ…
と思い、あまり竜也のことを
考えないように逸らしていた。
休み時間が始まり、
「 宮田ー! 」
グループの子に呼ばれ、席を外した。
5分くらいたったとき、
なんとなく教室のドアの方を見た。
えっ!?!?!?
思わず、声が出そうになる。
竜也が、ドアの前で私の様子を伺っていた。
「 え、待って!これ、宮田見てない? 」
「 だよね!やっぱりそうだよね! 」
「 ほら!宮田行っておいでよ!! 」
「 絶対私じゃないってば! 」
「 竜也ー!宮田に用ですかー?? 」
グループの1人の子が、
竜也に聞こえるように大きな声で言った。
「 ちょ、ちょっと!やめてよ! 」
「 ちょっと真凜ちゃん借りていい? 」
竜也も大きな声でそう言った。
ドキッ!!➸♡➸♡➸♡➸♡➸♡➸♡
わ、わたし…??
「 ふぅーーーー♡♡♡ 」
「 はい、行ってきなさい!♡ 」
恐る恐る、竜也の元に行く。
「 急にごめんね、また教科書貸して! 」
「 え?ああ、うん!いいよ! 」
教科書を渡す。
「 2回もごめんねー。ありがとう! 」
そう言って教室を出てった。
急いでグループに戻る。
「 竜也、なんだって?? 」
「 教科書貸してって…それだけ! 」
「 それだけじゃないじゃん! 」
「 今回は近くにいたから、なんて
理由じゃないじゃん!わざわざ呼ぶ? 」
「 だよね!宮田と関わり
作りたかったんじゃない?竜也! 」
「 それこそ、彼女の河西さんに
教科書借りればいいもんね!普通なら! 」
私をそっちのけで盛り上がってる。
諦めようって思ってる時に
こんな嬉しい出来事が起こるんだもんなー
恋の神様はイジワルだっ!!
でも、今のは確かに、
私じゃなくてもいーよな…っては思った。
なんで私だったのかな?って。
授業が始まる。
ほら、また授業に集中できない。
これで成績下がったら、竜也のせいだ!!
キーンコーンカーンコーン
授業が終わる。
このドキドキ、前回よりも大きい。
ガラガラガラガラ
「 真凜ちゃん、ありがとうね 」
あ、奴が来た。
「 あ、全然! 」
教科書を受け取ろうとしたら、
フェイントをかけられた。
「 これ… 」
竜也はニヤニヤしながら
教科書にはさんであった紙を取った。
ん?なんだその紙…
「 いやあ、見るつもりは
なかったんだけどさーごめんね。 」
そう言って、紙だけを私に渡した。
紙を見れば………………
数学のテスト
20点
終わった………
終わったわ………
これは見られたくなかった………
竜也に、これだけは
見られたくなかったのに……
もう、恥ずかしすぎる……
どうしてよりによって、
テストをはさんでたんだ…私…
自分でも、顔が赤くなってるのが
わかるくらい熱い。
「 あははははっ!見ちゃダメだった? 」
「 は、はい……… 」
「 勉強、教えてあげよっか? 」
「 …………え!! 」
「 借りは返すって言ったじゃん?
自分、数学得意だから教えるよ! 」
「 ……………… 」
まさかの展開に、言葉が出ない。
「 今日、放課後教室で待ってて。 」
「 え、えっと………… 」
「 放課後まで、教科書預かっとくから 」
私が何も返事してないけど、
強制的に勉強会をすることになった。
もう、何もついていけない………
え?2人っきりで……???
どうしてこうなったんだ……