貴方を好きな私は嫌い
放課後。
教室で1人で待つ。
竜也は、ほんとに来るの?
私は、遊ばれてたりしないよね?
落ち着かず、ソワソワしてしまう。
「 ごめーん、お待たせ! 」
竜也が私の教室に入ってきた。
「 あ、う、うん…… 」
竜也を前にすると、やっぱり緊張する。
「 じゃ、やろっか! 」
私の前に椅子を持ってきて、
1つの机で勉強会が始まった。
思ってるよりも距離が近くて、
集中できないよ……
「 あの……… 」
「 ん? 」
「 大丈夫なんですか…? 」
「 え? 」
「 河西さんと、一緒に帰らなくて…… 」
「 あー、全然大丈夫! 」
「 そうなんですね…… 」
「 真凜ちゃんも、愛香と
付き合ってること知ってたんだね! 」
「 そりゃ、学年でも有名ですし… 」
「 えー、そうなの? 」
「 美男美女カップルなので… 」
「 あはははっ!!照れるなー 」
「 ………… 」
惚気は聞きたくないよ。
「 でも、愛香は
俺じゃなくても大丈夫だから 」
「 えっ?? 」
「 真凜ちゃんの言う通り、
愛香かわいいから、
他の人からもモテるんだよね。
俺じゃなくても相手はいるから…… 」
いつも笑顔で、元気な竜也とは
思えない表情だった。
あ、、
聞いちゃまずかったかな……?
「 ふっ、俺には勿体ないよね 」
「 そんなことない!竜也かっこいいし! 」
慰めないと!と、必死だった。
「 えー?いきなり竜也呼び?? 」
「 あっ………!! 」
「 いや、嬉しいからいいよ! 」
笑いながらそう言った。
やっぱり、竜也は笑顔が似合うよ。
この勉強会で、竜也と距離が縮まった。
「 あ、もう外暗いね! 」
「 ほんとだ!早いね! 」
「 送ってくよ! 」
「 え?悪いからいいよ!! 」
「 大丈夫!勉強会誘ったの、俺だし! 」
お言葉に甘えて自転車の後ろに
乗せてもらった。
竜也に恋してから、初めて
経験することが増えていく。
「 きゃっ!怖い!! 」
「 ちゃんと掴まってたら大丈夫だから! 」
「 ちょっとー、スピード早い!! 」
怖いフリしながら、腰に手を回したの。
背中が大きくて、安心出来て、
なぜだか涙が出そうになったの。
家に着くのが早く感じる。
竜也と居ると、余計にね。
「 今日は色々ありがとう! 」
「 いえいえ!借りは返せたかな? 」
「 十分すぎるくらい!
逆に私が借りを作ったくらい! 」
「 あははっならよかった。 」
「 じゃあ、また明日ね! 」
時間が止まればいいのに。
もっと、一緒に居たかったな。
バイバイするのが、どうして
こんなに寂しいんだろう。
恋人同士でもないのに、
こんなこと思うのは間違ってるのにね。
河西さんが、羨ましいよ……
あれ?そういえば、数学の教科書
返してもらってないよね…??
どうしよ…
まっ、明日返してくれるだろう。