お腹に宿った小さな命
「ふふ…分かった、じゃあ生姜焼き食べたい
作ってくれる?」

「笑わないでくださいよー!」
少しふくれっ面をして先輩の顔を見た

先輩はポンッと頭に手を置いてごめんごめんと言ってくれた

それがすごく嬉しくてほっこりした

急いで生姜焼きとお粥を作ってテーブルに運んだ

「おっ!ウマそ」

「どうぞ!食べてください」

「いただきます!」
お互い手を合わせて挨拶してから食べ始める


「んー!うまい!」

「ほんと!よかったー」

安心して私も自分のお粥を食べ始めた

お粥を食べても気持ち悪くならずに久しぶりにゆっくりご飯を食べることができた

食べ終わって暖かいお茶を飲みながらゆっくりしていると

「萌音?」

「はい?」
先輩に呼ばれて振り向くと
手招きされてソファーに座っている先輩の隣に座った

「萌音さ、今からタメ口で喋って欲しいんだけど」

「えっ?」

「だって俺達婚姻届出してないけど夫婦なわけじゃん、なのにいつまでも有栖川先輩だし
それに敬語で喋ってるじゃん」


「たしかに!」

言われて始めて気が付いた

最初からずっとそうだったから全然気が付かなかった

「だから今から名前呼びとタメ口で喋ること
はい、呼んでみて」

「えー!今」

「何?嫌なの?」

「そうじゃないけど…」

「なら、どうぞ!」

「りょ…すけ」

「ん?なんて?」
先輩の顔が意地悪になってる

「涼介」

「ん…偉い!」

先輩の名前を呼んだだけなのに心臓がバクバクしてる
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