痛み無しには息ていけない
~壱~
いつものように勤務先の仕分けセンターで、休憩所のテーブルの椅子を引いて座る。
いつものように利き手である右手を使ったら、大学時代に遭った交通事故の時と同じ箇所に今朝出来てた、右肩の青痣が痛んだ。
今朝は、大学時代に遭った交通事故の夢を見た。
自分は打撲や捻挫、今も右腕に残る裂傷、そして今も苦しめてくるトラウマで済んでいるが、この事故で大学時代の親友だった花奏は、失血性ショック死で命を落とした。
こんなにも適当に毎日を過ごしている面倒くさがりの自分がまだ息をしていて、あんなにも毎日を頑張って生きていた花奏はもうこの世の何処にも居ない。
あの時自分は花奏と一緒にいたのに、花奏を庇うような事は何一つ出来なかった。“自分には誰にも守れやしない”ってよく分かった。
“明日が来るって約束はない”って痛感した。
「おはよーさん、マコ」
「おはよ」
出勤してきた沙織に挨拶する。
沙織はタイムカードを押して、そのままロッカー室に直行していった。
その一方で、出勤してきた吉田さんが、タイムカードも押さずに喫煙室に入って行くのを見かける。
…あのままだと吉田さん、タイムカード押し忘れるっすよ……。
休憩所のテレビは点いていて、今日もニュースが流れていた。
独り暮らしの自分は家で意図的にニュースを観る事はあまり無いので、休憩所のテレビがニュースを流していてくれるのは、正直とても助かる。
……そういやこのチャンネル、さっきまでドラマの再放送してたんだっけ?
ロッカー室に荷物を置いて、制服のビブスを着てきた沙織が、自分の隣の椅子に座って、マスクを着け直す。
「次のニュースです。白血病の闘病を公表していたタレントのYell(エール)さんが、都内で流行る疫病の治療中に亡くなりました。47歳でした」
「嘘だろ…?Yellさんが、亡くなった……!?」
Yellさんは都内出身の男性お笑いタレント。都立では名の知られたサッカー強豪高校の出身で、自身もサッカー部に在籍していたらしく、“サッカー好きタレント”としても知られていた。
いつものように利き手である右手を使ったら、大学時代に遭った交通事故の時と同じ箇所に今朝出来てた、右肩の青痣が痛んだ。
今朝は、大学時代に遭った交通事故の夢を見た。
自分は打撲や捻挫、今も右腕に残る裂傷、そして今も苦しめてくるトラウマで済んでいるが、この事故で大学時代の親友だった花奏は、失血性ショック死で命を落とした。
こんなにも適当に毎日を過ごしている面倒くさがりの自分がまだ息をしていて、あんなにも毎日を頑張って生きていた花奏はもうこの世の何処にも居ない。
あの時自分は花奏と一緒にいたのに、花奏を庇うような事は何一つ出来なかった。“自分には誰にも守れやしない”ってよく分かった。
“明日が来るって約束はない”って痛感した。
「おはよーさん、マコ」
「おはよ」
出勤してきた沙織に挨拶する。
沙織はタイムカードを押して、そのままロッカー室に直行していった。
その一方で、出勤してきた吉田さんが、タイムカードも押さずに喫煙室に入って行くのを見かける。
…あのままだと吉田さん、タイムカード押し忘れるっすよ……。
休憩所のテレビは点いていて、今日もニュースが流れていた。
独り暮らしの自分は家で意図的にニュースを観る事はあまり無いので、休憩所のテレビがニュースを流していてくれるのは、正直とても助かる。
……そういやこのチャンネル、さっきまでドラマの再放送してたんだっけ?
ロッカー室に荷物を置いて、制服のビブスを着てきた沙織が、自分の隣の椅子に座って、マスクを着け直す。
「次のニュースです。白血病の闘病を公表していたタレントのYell(エール)さんが、都内で流行る疫病の治療中に亡くなりました。47歳でした」
「嘘だろ…?Yellさんが、亡くなった……!?」
Yellさんは都内出身の男性お笑いタレント。都立では名の知られたサッカー強豪高校の出身で、自身もサッカー部に在籍していたらしく、“サッカー好きタレント”としても知られていた。