痛み無しには息ていけない
VIII

~零~

暗闇。床に座り込む自分にのみ光が当たってる。


「オマエが死ねば良かったんだ」

「オマエが彼女を見殺しにしたんだ」

「何で毎日頑張って生きてた彼女が死んでて、適当に過ごしてたオマエが生きてるんだ」


誰が言っているかも分からない、無数の声が聞こえてくる。
――また、これか。またよく分からない、匿名の声。


「彼女は出血多量で亡くなったんだ」


それぐらい責められるだけ、自分は自分を責めている。
右腕に生温かい何かが流れた気がした。
自分にだけ当たるスポットライトで右腕を確認すると、血が流れていた。

――このまま自分も、出血多量で命を落とせば良い。
真っ暗になった。
左腕にも生温かい何かが流れてきた気がしたけど、真っ暗で、もう何も確認出来なかった。
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