痛み無しには息ていけない
「…まぁ、マコはそんなに傷だらけだからねー。今日も額酷いよね」
「あー…、バレてた?」
「バレてた」
上手い具合に前髪で隠してたつもりなんだけどな…。
段ボール箱を組み立てる手を一度止め、前髪をグシャッと下ろす。
季節柄、腕まくりはまだしないし、沙織には悪夢と傷の話もしてなかった筈だ。
あの話は簡単に人に聞かせて良い話だとも思えないし、誰にでもすぐに話して良いとも思えない。
しかも、あの悪夢の原因が極めて重いし、遠距離恋愛の彼氏がいる沙織は知らない方が良いと思われる。
「……そもそもマコは、けっこう自傷行為が目立つよね」
沙織に言われて、思わずビクッとなる。
あの夢の話はしてない筈なのに。あの夢は、完全な“自傷”とは言い切れない筈なのに。
恐る恐る、沙織に返事する。
「……そうかな?」
「そうでしょ。マコ、すぐに物に当たるじゃん。壁殴ったりとか。それで、腕に痣とかよく作ってるでしょ」
あれは完全な自傷行為でしょ、と続ける沙織。
自分としては、単純に物に当たってるだけのつもりだったんだけどな…。
それも、あまり宜しくない事なのは知ってるけど。
――というか、自分がそれで痣が出来てるのを知ってるとか、沙織は意外とよく見てんな…。
「まぁ、それだけ傷多けりゃ、重症にならない気は、確かにするよね」
「だろ?そもそもマスクすると、単純に息苦しいしな」
「確かに」
キチンとマスクしている沙織でも、息苦しさには同意してくれた。
本当に迷惑極まりないんだよ。
よく笑う事が予防に繋がるのは、ガン細胞とかにも実証されてるらしいし、笑うのは楽しいから良いけど。
自分を傷付けなければ、痛みを負わなければ、病気が悪化してしまって、最悪死んでしまうとか。
しかも、その治療法すらも、場合によっては死に繋がっているなんて。
一体誰の所為なんだ…。どうしてこんな事になった?
デジタルなベルが鳴った。
休憩時間だ。
「あー…、バレてた?」
「バレてた」
上手い具合に前髪で隠してたつもりなんだけどな…。
段ボール箱を組み立てる手を一度止め、前髪をグシャッと下ろす。
季節柄、腕まくりはまだしないし、沙織には悪夢と傷の話もしてなかった筈だ。
あの話は簡単に人に聞かせて良い話だとも思えないし、誰にでもすぐに話して良いとも思えない。
しかも、あの悪夢の原因が極めて重いし、遠距離恋愛の彼氏がいる沙織は知らない方が良いと思われる。
「……そもそもマコは、けっこう自傷行為が目立つよね」
沙織に言われて、思わずビクッとなる。
あの夢の話はしてない筈なのに。あの夢は、完全な“自傷”とは言い切れない筈なのに。
恐る恐る、沙織に返事する。
「……そうかな?」
「そうでしょ。マコ、すぐに物に当たるじゃん。壁殴ったりとか。それで、腕に痣とかよく作ってるでしょ」
あれは完全な自傷行為でしょ、と続ける沙織。
自分としては、単純に物に当たってるだけのつもりだったんだけどな…。
それも、あまり宜しくない事なのは知ってるけど。
――というか、自分がそれで痣が出来てるのを知ってるとか、沙織は意外とよく見てんな…。
「まぁ、それだけ傷多けりゃ、重症にならない気は、確かにするよね」
「だろ?そもそもマスクすると、単純に息苦しいしな」
「確かに」
キチンとマスクしている沙織でも、息苦しさには同意してくれた。
本当に迷惑極まりないんだよ。
よく笑う事が予防に繋がるのは、ガン細胞とかにも実証されてるらしいし、笑うのは楽しいから良いけど。
自分を傷付けなければ、痛みを負わなければ、病気が悪化してしまって、最悪死んでしまうとか。
しかも、その治療法すらも、場合によっては死に繋がっているなんて。
一体誰の所為なんだ…。どうしてこんな事になった?
デジタルなベルが鳴った。
休憩時間だ。