【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由

✳✳✳

忘年会を終え、どこか足取りのふわふわした彼女をつれて車までやってくる。

キーレスの電子音が、無人の駐車場内に妙に響いて緊張感が走った。

だって、車なんて密室だ。緊張しない方がおかしい。

「本当にいいの?」

「まだ言ってるの? だめなら誘わないし、。そんな状態で夜道をひとりで歩くのは危ないよ」

まぁ、間違いなく一番危ないのは僕だけど。

「ありがとう。でも……彼女とかいないの? 大丈夫?」

「いない」

ここは食い気味に。完全否定しなければならない。
< 19 / 61 >

この作品をシェア

pagetop