【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
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忘年会を終え、どこか足取りのふわふわした彼女をつれて車までやってくる。
キーレスの電子音が、無人の駐車場内に妙に響いて緊張感が走った。
だって、車なんて密室だ。緊張しない方がおかしい。
「本当にいいの?」
「まだ言ってるの? だめなら誘わないし、。そんな状態で夜道をひとりで歩くのは危ないよ」
まぁ、間違いなく一番危ないのは僕だけど。
「ありがとう。でも……彼女とかいないの? 大丈夫?」
「いない」
ここは食い気味に。完全否定しなければならない。