【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由

「社内でファンも沢山いて。本当に浮いた噂聞かないから、彼女いるのかと思ってた」

「だから、いないってば」

ムキになって否定すると、彼女は「珍しく、クールじゃない」なんてクスクス笑う。

よほど、子供っぽいと思ったんだろう。

気にしない素振りを見せながら、エンジンをかけて、車を緩やかに走らせる。

「富丘くんなら、素敵な彼女できると思うよ。いつもクールだけど、優しくて思いやりがあって、仕事もできるし」

黙り込んだ僕が、気分を害したと思ったらしく、いらぬフォローが飛んでくる。

大概彼女も鈍感だ。大半が僕の気持ちに気づいているのに。
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