【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由

自分の中で異性だと思える存在は、その人だけで。

まるで決められた人生のように、その人だけを求めてしまう。

切なく苦しく、痛い。なのに、神に与えられたバツのように、その人しか見えない。

僕にはその気持ちが痛いほどわかる。

「そうか……」

とは言っても、あんな男のために苦しむ彼女を見て、僕も心の底から泣きたい気持ちでいっぱいだ。

自然と声のトーンが低くなる。

「あっ、ごめん、急にこんなこと。友達にも呆れられちゃってて、誰にも相談する人いなくて、つい……」

「あぁ、いや、ちがうんだ」

しまった。勘違いさせてしまった。
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