【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由

逃げるようにして、立ち上がろうとした彼女の腕を掴み、僕も腰を浮かせる。

「――カッコ悪くないよ」

「………え?」

「諦めが悪くて、何が悪いの?」

途端に、大きな二重まぶたが、大きく見開かれる。

「誰だって、譲れないものはあるし。見返りを求める事だって当たり前じゃない? 相手のことが、好きなんだから」

「富丘くん……」

「君は……間違えてないよ。ただ…頑張りすぎだから、無理はしないで」

僕はつい言っていた。
< 28 / 61 >

この作品をシェア

pagetop