【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
片思いならこの場で奪うのが鉄則なのに。
長年の自分の想いが否定されたな気がして、思わず反論していた。
好きなものは好き。彼女だって、僕だって。
君が欲しいけど…悲しませたくないのも事実で。
夜空の映り込む彼女の美しい瞳には、みるみる涙の膜が張りはじめた。
じっと見つめて、涙があふれるのを待つ。
今は…今だけは、拭えるのは僕だけだから。
「……頑張ってる…なんて初めて言われた。」
ぽろり。ぽろり。
そっと手を伸ばしかけて……怖くなって思い留まる。