【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
「君なら、努力しなくても…ありのままを受け入れてくれる人がいるんと思うけど」
代わりにスーツのポケットからハンカチを取り出し、彼女の頬に当てて、震える小さな手に持たせた。
僕を好きになればいいのに。
今、君を奪っても、この関係が壊れないという、確たる保証がもらえればいいのに。
そんなやりきれない感情がむくむく顔を出しては、消えていく。
「君の近くには……その彼より良い男はいないの?」
試しにそう問いかけると
「いるよ、沢山」
バカな事を聞くなと言わんばかり彼女は苦笑した。