【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
「でもね、私が好きになったのは彼だから」
「……」
「どんなにダメな人でも…最低でも…何故か嫌いになんてなれないんだよ。バカだよね」
自分から聞いておきながら、滅多刺しにされた気分だ。
そして、ここまできても諦められない僕も、大概バカ野郎だと心で嘲笑う。
気まずくなるくらいなら、明日からも彼女に笑いかけてもらえる、同期という関係から抜け出すことができない。
ここは――彼女を傍で見守ることのできる、最高に割のいい、生ぬるいポジションだから。