【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
そして、今
✳✳✳


「………さと。ねぇ、真斗?」

「!」

名前を呼ばれて、振り向くと彼女が心配そうにこちらを見ていた。

どうやら僕は、過去の記憶に取り込まれていたようだ。


あの出来事が嘘のように。ときは流れ――

出会いから約十一年、あの夜から半年が経過していた。

「ボーっとしてたけど、大丈夫?」

彼女が――明日美が僕の目元をなぞる。
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