【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
疲れてるか心配してくれているのだろう。ここのところ帰宅も深夜だったから。
「大丈夫だよ。思い出してただけ。君との軌跡を」
そう言うと、彼女はいつもちょっとだけ気まずそうな顔をする。
「軌跡……。私も今でも思い出すよ。真斗は命の恩人だなぁって」
あの時、この場所のフェンスの向こう側にいた彼女は、今では僕の婚約者である。
来月結婚式を控える僕たちは、誰がどう見ても仲睦まじいカップルで、あんなはじまりは想像ができないだろう。
今では思い出の場所となった屋上で、こうしてまったりするのが、僕たちの楽しみだったりする。