【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
緩やかな栗色のウェーブの髪が風に揺れる。シトラスの爽やかな香りがふたりを包む。
とても正攻法とはいえないけれど、ようやく手に入れた最愛の彼女。
かけがえのないこの時間が、何よりも愛おしく、胸が突き上げられる。
「ありがとう。それと……明日美」
「なに?」
「僕の“提案”に乗ってみて……後悔してない?」
問いかけると、彼女はパチクリと瞳を瞬かせて、少しだけ考える素振りを見せる。
これを聞くのは、はじめてだ。さすがに、少しだけ緊張する。