【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由
恭しく、彼女の左手を取り、指輪の上から細い薬指にキスをする。
「わっ……」
「僕の方が幸せだよ」
「――っ……。様になり過ぎてて困る」
キザだと笑われてもいい。バカにされてもいい。
なのに、彼女はいつも赤くなって、愛らしい反応を返してくれる。
「何言ってるの。さぁ、そろそろ部屋に戻ろう、冷えてきた」
僕はそっと彼女の肩を抱き寄せ、エレベーターホールへと促す。
「真斗は自分がどのくらいカッコいいか、分かってないんだから。いつも女のコたちに格好いいってヒソヒソ言われてて――」