二つの心臓
ご飯を食べ終え皿を洗い、彼女とテレビ等の大きな物の設置が終わり、彼女はクローゼットに衣類を僕は本棚に本を入れていると書籍と書かれた二つ目の段ボールを開けると一番上にホッチキスで留められただけの本のようなものを見つけた。衣類を片付け終えたらしく近くに寄ってきて僕の手元を覗き込んできた。
「なんか古いねー、それ本?」
「んー、そうだよ。これは僕が菜月と付き合う前に書いていた本だよ。」まだ完成させてないけどねと僕は笑う。
「え、完成させないの?勿体ないよー」
「そうだね。五年経った今なら書けるかもね。」
視線を手元に戻し、この酷く拙い本を、この美しく儚い本を、そして今隣に居る菜月を見て、僕は彼女の唇にそっと唇を重ねた――
この本を書くにあたってまずこの本を書くきっかけになった話をすべきだと思う。
そもそも何故この本は書かれたのか、あれはきっと未練を昇華させようという軽い気持ちから始まった。
「なんか古いねー、それ本?」
「んー、そうだよ。これは僕が菜月と付き合う前に書いていた本だよ。」まだ完成させてないけどねと僕は笑う。
「え、完成させないの?勿体ないよー」
「そうだね。五年経った今なら書けるかもね。」
視線を手元に戻し、この酷く拙い本を、この美しく儚い本を、そして今隣に居る菜月を見て、僕は彼女の唇にそっと唇を重ねた――
この本を書くにあたってまずこの本を書くきっかけになった話をすべきだと思う。
そもそも何故この本は書かれたのか、あれはきっと未練を昇華させようという軽い気持ちから始まった。