砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
津田先生は、私をじーっと見つめた。

「えっ?」

「千奈ちゃんが行きたいのは、アムジャドのいる場所だろ?」

図星をつかれた。

「だとしたら、余計に推薦できないよ。留学は好きな人と会って、いちゃつく為にあるものじゃない。」

津田先生は、手に持っていたパンフレットを丸めて、ゴミ箱に捨ててしまった。

「先生!」

「千奈ちゃん。今回は諦めるんだ。いいね。」

津田先生はそれっきり、私の方を見てくれなかった。

私はゴミ箱に丸めて捨てられたパンフレットを、そっと拾い上げた。


モルテザー王国。

小国だと言っていたけれど、皇太子であるアムジャドは、こんなへき地に来ないのかしら。

ううん。先生は、そんな事言ってるんじゃない。

私の邪な気持ちを、反対しているんだ。
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