砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
私は廊下に出て、空を見上げた。

アムジャド。あなたに会うには、どれだけの事が必要なんだろう。

会いたい。

今直ぐに会いたい。


『チナ。ずっと僕の側にいて。』


そう言って抱きしめてほしい。

涙が頬を伝う。

私はゴシゴシと、涙を拭った。

泣かない。

アムジャドに会うまで、勉強を頑張るって決めたんだから。


その日はバイトはなく、家に真っすぐに帰った。

「ただいま。」

この前言ってから、お母さんは玄関に迎えに来なくなった。

でも心配している気持ちは、伝わってくる。

「おかえり。」

私が帰ってくる時間に、必ずリビングにいてくれるからだ。

「どうだった?勉強は。」

「うん。」

なのに私は、勉強どころかアムジャドの事ばかり、考えている。
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