砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
日本を経って約12時間。

飛行機と車を乗り継いで、やっとモルテザー王国に着いた。

「皆さんがこれから行くサハルは、この国の最も東側に位置していて、モルテザー王国の玄関口になっています。」

日本人語の通訳の人が、教えてくれた。

「へえ。じゃあ、ある程度栄えているんですかね。」

「栄えている?うーん。首都に比べれば、全く生活は苦しいよ。」

息をゴクンと飲んだ。

そうだ。私達はへき地だというところに行くのだから、期待してはいけない。

「もうすぐだ。」

通訳の人が指さした場所は、山間にある町だった。

「モルテザー王国は、小さい国でね。山で囲まれた場所に、あるんだけど、町は三つしかない。首都ジアーと隣の比較的水に恵まれたジャファル、そして東側に少し離れたこのサハルだ。」
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