砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「アムジャド皇太子は、日本に留学されてたんです。」

「皇太子様が?」

通訳の人は、首を捻った。

「いつの話?」

「つい最近ですよ。」

「おかしいね。皇太子様が国を出たって言う話は、聞いてない。」

「えっ……」

じゃあ、あのアムジャドは誰?


『モルテザー王国の皇太子なんだ。』


あの言葉は、嘘だったって言うの?

その時、津田先生が私の肩を叩いた。

「お忍びだったかもしれないよ。アムジャドの周りには、イマードしかいなかったしね。」

「そうか。堂々と留学に来ていれば、もっと護衛の人がいても、おかしくはないですよね。」

お忍びの留学。

そして私と出会ってくれたアムジャド。

あの笑顔が、懐かしい。


「さあ、着いたよ。」

車が町の外れに停まった。
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