砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「こういう事もあるだろうと思ってね。持って来たんだ。」

厚手のシートは、寝転がるのに最適だ。

「ははは。考えたな、津田先生。」

土井先生は、笑っている。

「じゃあ、俺達は遠慮なく、ベッドで寝させてもらうよ。」

すると土井先生は、空いたベッドに、ごろッと寝転がった。

通訳のアリさんも、角のベッドに寝て、眠る準備をしている。

「じゃあ、千奈ちゃん。おやすみ。」

「先生も、おやすみなさい。」

電気も通っていない中、辺りは真っ暗になった。

私はカバンの中から、ライトを取り出した。

夜中に勉強しようと思って、持って来たのが幸いだった。

ライトをつけて、本を読もうとした時だ。

「千奈ちゃん、よせ。」

土井先生に、止められた。

「明日は、夜明け頃から患者が押し寄せる。今のうちの寝ておくべきだ。」
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