砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
すると昨日の夜、点滴を受けた子供のお母さんが、やってきた。

「ああ、熱は下がった。もう大丈夫だよ。」

お母さんは、子供を抱きしめて、何度も何度も頭を下げていた。

この光景だ。

私が求めていたモノは。

「千奈。ぼーっとするな。食べ終わったら、バイタルだ。」

「あっ、はい。」

直ぐに台所に皿を置きに行くと、私は血圧計と聴診器を持って、今日も次から次へと、バイタルを測った。

私が血圧を測っているのを見ると、みんな順番に私に腕を出してくるようになった。

1日でこんなに変わるだなんて。

ちょっと不思議。

そんな時だった。

「これは、俺の手には負えん。」

土井先生が、車を用意するように言った。

「外科の治療が必要だ。首都へ運べ。」

みんな手分けして、その人を車に乗せている。
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