砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
それでも土井先生は、淡々と次の患者さんを診る。

「……土井先生にも、治療できない患者さんがいるんですか?」

「何でもかんでも治療できると思うのは、人間の傲りさ。専門以外の病気は他の医師に任せる。幸い首都には、外科手術ができる病院があるからな。」

医療が行き届かない場所で、患者さんを診たい。

でも私がなりたいのは、内科の医者であって、外科の治療が必要な時は、他の医師にその患者を委ねなきゃいけない。

私は、泣けてきた。

「なんで泣く?千奈。」

「なんでしょう。」

私は涙を拭った。

「自分の限界を感じたか。」

「もしかしたら、そうかもしれないです。」

「そんな事思ってる暇なんてないぞ。俺達を必要としている患者は、わんさかいるんだからな。」
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