砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
私は涙を拭いて、次の患者さんに当たった。

「腕を貸してね。」

子供の腕に帯を巻く。

「はい、いいよ。次は横になってね。」

そしてベッドの脇に、膝を着いた時に気づいた。

やけに子供の患者が多い。

「気づいたか?」

土井先生が、隣から話しかけてくる。

「この国は子供の罹患率が多いんだ。命を落とす子供もいる。風邪をこじらせてね。」

「風邪を?」

「驚くだろ。日本じゃまず風邪で死ぬ奴なんていない。だが、この国では、それが現実だ。」

胸にグッとくるものがあった。

風邪で死んでいく命がある。

よく聞けば、泣き止まない子供がいる。

私は立ち上がって、その子供の背中を撫でた。

「大丈夫だよ。土井先生と津田先生に、治してもらおうね。」
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